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田中和孝です。
先日ニュースを見ておりましたら、タクシー料金のスマホでの電子決済の様子が特集されていました。
普通の電子決済でしたら、ニュースの特集のネタにはならないと思うのですが、運転免許を返納した高齢者向けに特化したタクシー電子決済システムの事例紹介でした。
昨今は高齢者による路上での暴走やコンビニに突っ込むといったニュースをよく見ます。
こういうこともあってか、高齢者による運転免許証の自主返納が増加傾向にあるそうです。
世の中の何が困り事なのか?
そうすると必然的に高齢者の移動手段が一つ減ってしまうので、公共の交通機関、タクシー、家族による送り迎えが益々必要になってきます。
こういった高齢者の交通事情に着目したタクシー会社のレポートでした。
システムの内容は次のようなものでした。
- 決済システムへの料金チャージは家族が行う(最大2万円)
- 高齢者ご本人がタクシーを利用した場合は、スマホで決済を行う
- その決済結果は、家族へも決済アプリを通じて連絡がいく
これにより、高齢者も現金を扱わずに済み、またご家族もその足取りを確認することができます。
「きちんと決まった日に病院に行ったか」なども、この仕組みで大まかに知ることができるでしょう。
ご家族としても、
- 車を運転しないので事故に遭わない
- 高齢者ご本人がタクシーを便利に利用できる
- 家族側で料金チャージと利用履歴を管理できる
と非常にメリットが大きい仕組みです。
タクシーなので多少コストが高くつくかもしれませんが、それは車の維持費や交通事故のリスクを考えると相応のコストではないかと思います。
消費者の利便性を重視した考え方
このシステムを導入しているタクシー会社の社長さんのインタビューでは、
「高齢者が免許を自主返納しても、それを補う交通手段を準備しておかなければ、皆さんが便利に生活することはできない。これをサポートしていくのが我々の仕事です」とコメントされていました。
これを聞いて、「ビジネスの原点はここだよな~」と思い、非常に勉強になりました。
普通の電子決済システムだったら、すでに前から運用されている仕組みですが、それを利用する人の状況を考えて、様々な付加価値をサービスに付随させていくことが重要です。
この例で言えば、高齢者を取り巻く環境をよく検証し、
- 高齢者の免許返納によって、交通手段が一つ減ってしまう
- きっと回りのご家族が、日々の行動(移動)について心配している
- 高齢者ご本人がいかにラクに決済できるようにするか
というように、「免許を返納した高齢者の方に、いかにタクシーを便利に利用していただくか」ということをテーマにしてサービスを考えておられます。
これから本格的な高齢化社会を迎えるにあたり、少しでも事故を減らそうと免許の自主返納をされている高齢者の方に対し、それをサポート、カバーするようなサービスを提供しているタクシー会社。
社会が一丸となって、悲しい事故を減らそうという動きはとてもすばらしいと感じます。
また同時に「誰に」「何を」をしっかり見据えたうえで商品やサービスを開発していくことが重要だと改めて感じたニュースでした。